いつもお世話になっております、ルル区長です。
令和7年1月28日に埼玉県八潮市の国道交差点部の大規模陥没によるトラック転落事故が発生し、大きなニュースになっています。
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この事故をきっかけに僕の自治体でも道路陥没に関する問い合わせが増えてきています。
道路は国道・県道・市町村道等の区別があるにせよ、国や地方自治体が管理していく重要なインフラです。
このような事故が「なぜ起こるのか」・「今後どのような対策が求められるのか」、土木公務員の僕が解説していきたいと思います!
道路陥没事故の概要
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事故が発生したのは埼玉県八潮市の県道54号線(松戸草加線)の中央一丁目交差点です。
直径10m・深さ15mの道路陥没が発生し、その穴に2tトラックが転落した非常に大きな事故となりました。
道路下に非常に大きな空洞が発生しており、トラックの救助活動は困難なものとなっています。
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県道交差点部のため、交通の影響もかなり大きそうですね…
時間が経過するにつれ陥没はどんどん広がり、周辺家屋や電柱にまで被害が及んでいます。
事故の詳細についてはWikipediaで記事が作成されていたので参考にリンクを貼っておきます。
陥没の原因は県道に埋設されている下水道管
今回の事故の原因となったのは県道に埋設されている下水道管の老朽化になります。
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下水道管が腐食等により劣化し、穴が開いたりするとそこから道路下の路盤材(土)が流出してアスファルト舗装の下に空洞が発生します。
今回事故が起こったような大きな下水道管は作られてからかなり時間が経過していて老朽化が激しいものが多いです。
R4年度時点で、全国の下水道管の総延長はおよそ49万kmであり、その中の約3万km(約7%)が標準対応年数の50年を過ぎているそうです。
特に関東のインフラは先に作られたものが多く老朽化が進行している可能性が高いです。
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引用として、上下水道のインフラマネジメントに関する国土交通省の参考HPのリンクを貼っておきます!
下水道管が原因でここまで大きな陥没が発生することは滅多にありませんが、規模の小さい陥没であれば全国どの自治体でもよく発生する事案です。
原因となった管は幹線下水道管で管理者は埼玉県
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陥没のあった道路に埋設されている下水道管は幹線下水道管と言い、下水道管の中でもメインの管路になります。
管の呼び径は4750mm(4.75m)で埋設深さは約10mと非常に規模の大きな下水道管です。
ちなみに管理者は八潮市役所ではなく埼玉県になります!
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埼玉県が管理する下水道管の情報については埼玉県のHPで公開されています。引用としてリンクを貼っておきます!
陥没地点は流末付近で下水道管が止まったことにより広範囲に影響発生
今回の陥没が起こった場所は運悪く中川流域下水道管路の流末付近であり、ここが止まったことによりこの地点より上流における広範囲の下水道管に影響が出てしまいました。
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埼玉県はHPで近隣住民にお風呂屋トイレを極力控えるよう節水をお願いしたり、排水を別の場所に回したり対策をしています。
公共インフラが停止するとどれだけ生活が不便になるか、こうした事故が発生すると改めて実感しますね…
下水道管による陥没を未然に防ぐ対策方法について
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埋設管の腐食による道路陥没事故を未然に防ぐためにはどうしたら良いのでしょうか?
こうした道路下の埋設管による道路陥没は道路表面に影響が出始めた時には下部はすでに大きな空洞ができてしまっているため、早期の発見が困難です。
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僕も道路管理の部署にいたときはよく陥没の通報を受けて現地確認したりしましたが、想定以上に空洞が大きく急いで業者を呼ぶことも多々ありました笑
今回の事故を受けて全国の自治体はより高度な維持管理対策を求められるようになること間違いなしです…
対策方法:専用の調査車による路面下空洞探査
道路下の空洞を発見する最も主流な方法が専用の調査車による路面空洞探査です。
地中の状態を観測するレーダーを搭載した調査車を走らせて空洞探査を行います。
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異常信号が検知されればそこを重点的に追加調査していきます。
今回の事故により路面空洞探査を実施している自治体も多いと思います。
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路面空洞探査については国土交通省が資料を公開していますのでこちらも引用としてリンクを貼っておきます!
まとめ
今回は令和7年1月28日に発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故について解説してみました!
まとめると、
- 下水道の老朽化による腐食が原因で道路陥没が発生した事故
- こうした陥没は規模の小さいものも含めると身近な道路で多発している
- 道路の空洞化は早期の発見が困難
- 対策としては路面空洞探査が一般的
こんなところでしょうか!
これからも公務員・土木に関する注目度の高いニュースがあれば取り上げていきたいと思います。
それでは、失礼いたします。