いつもお世話になっております、ルル区長です。
この記事は政令市の土木公務員を目指している学生の方に向けた記事となっています。
就活全体に言えることですが、希望の就職先の業務の実態って入ってみるまで分からないですよね笑
特に公務員ともなれば多くの部署を経験することになるので、すべての業務を事前に把握することは難しいと思います。
ですので政令市土木公務員の僕が、土木関係の部署の仕事の実態について解説していこうと思います!
今回は道路の建設系の部署についてお話します!
道路の建設系の部署は出先(土木事務所等)に設置されることが多い部署です!
道路の建設に関する部署は基本的に出先(土木事務所等)に設置されていることが多いです。
「さいたま市役所」と「新潟市役所」を例に具体的な部署名を挙げると、
- さいたま市役所:「(北部・南部)建設事務所道路建設課」(市内2事務所)
- 新潟市役所:「(東部・西部)地域土木事務所」(市内2事務所)
といった感じです!
各区に設置されているわけではなく、1つの事務所でいくつもの区をまとめて担当しているんですね!
仕事内容:新しい道路を作ったり、主要な道路を改良するのが仕事です
この部署の仕事内容は簡潔に言うと、主要な道路の新設・改良です。
例を挙げると、
- 幹線道路を1車線から2車線化する。
- 交通渋滞が頻繁に起こる交差点を改良する。
- 大きい河川の上に橋を架ける。
- 用地を買収し、何もないところに新しい道を作る。
ざっくりこんな感じですが、基本は「多くの人が利用するであろう便利な主要道を作ること」が目的です!
皆さんが思い浮かべるような土木工事がまさにこれですね。
一つ一つの事業が重く、金額も数千万から数十億といった大金が動きます。
計画段階からいうと、用地買収もあったりして工事の完了まで非常に長い時間がかかります!
10年、20年といった期間で動いている案件も多くあり、自分が担当になっても完成を見届けることなく次の部署に異動する。なんてこともよくあります笑
また、道路維持の仕事とは異なり、事業一つ一つに予算が割り振られており、本庁からは問題なく事業が進行できているか動向を頻繁にチェックされています笑
そして、仕事の大まかな流れは
事業計画承認・スタート
⇩
工事の設計を建設コンサルタントに発注
⇩
用地買収・地元調整・警察と交差点部の打ち合わせ等
⇩
設計書・図面の修正・工事計画の最終確認
⇩
工事の発注・現場監督・完了検査
こんな感じになります。
ちなみに、工事は1回(1年)では終わらないことがほとんどです。
また外部への説明資料を作ったり頻繁に打ち合わせがあったりとやることは非常に多いです!
多くの地権者や関係機関を交えて事業が進んでいくので難しい地権者が出てきたりしたら、一気に事業が停滞してしまったりします。
大きな流れに沿って事業を進めていく分、見通しはつきやすいですが土木に関する知識や役所の制度に詳しくないと厳しい側面があります!
工事の対象となる道路は県道や都市計画道路などの主要な道路です!
政令市の道路建設系の部署は主要な道路を事業の対象にしていると説明しましたが、その主要な道路の分類はというと…
- 都市計画道路:都市の主要な骨格を形成する、都市計画と一体となって整備される道路
- 一般国道(主に3桁の国道)や県道:政令市では国・県道も管轄です。
- 1・2級の市道:都市計画区域内に設置された幹線市道、主要な地域・施設同士を結ぶ市道
このような道路になります!
比較的利用者が多く、その自治体の交通の要となるような規模の大きな道路が事業の対象となっているんですね!
また、上記で説明したような大きな道路のほかに、駅前広場や路面電車やモノレールなど車以外の交通のための道路の整備を行ったりもしています!
用地買収が発生することが多く、地権者の説得・対応が大変な部署です。
この部署で担当することになる事業には基本、用地買収が発生します。
新たに道路を作るにも、既存の道路を広げるにも土地が必要ですからね!
こうした道路用地の買収には問題がつきものです…
よくある事例として、
- 「工事に必要な部分だけでなく、まとめて土地を買ってくれないなら売らない」
- 「前の担当者の態度が気に入らなかったので工事には協力しない」
- 「地元付き合いが悪く、嫌がらせのため、工事には協力しない」
- 「土地を提供するのだから個人的な要望を聞いてくれ」
こんなことが結構頻繁に起こったりします。
道路建設の事業は多くの土地に影響するのでこうしたことを言ってくる人にはかなりの確率でヒットします笑
しかもこうしたことで簡単に工事が止まってしまったりするから困りものです笑
地権者を納得させるためのアプローチや、いくつもの折衷案を事前に考えておけるような「準備型」の人が向いている部署になります!
設計では建設コンサルタント、工事では比較的大きい建設業者を相手にするため、幅広い知識が必要です!
道路建設事業では設計では「建設コンサルタント」、工事では比較的大きな「土木業者」を相手に仕事を行います。
どちらも実力ある「その道のプロ」です。僕たち役所の職員よりは断然詳しいです!
そこにしっかりついていかないといけないのがこの部署の大変なところです。
コンサルとの打ち合わせでは、実際に工事を行う現場を想像しながら構造や工手を決定していかなければなりませんし、当然分からないこともたくさん出てきて勉強しなければなりません。
また、そうして出来上がった設計図書を実際に工事を行う土木業者にしっかりと説明しなければなりません。
当然、ここで担当者が理解できていなければ現場が始まった後で問題が発生する可能性が高くなります!
工事現場で問題が発生し、それが予測のできたものだったとするならば、悪いのは完璧な図面を作らなかった建設コンサルタントでもなければ、設計図書を理解しきれていなかった土木業者でもありません。
工事内容を把握できておらず、適切な対応を怠った役所側の責任です。
以上のことから、道路建設の部署では取り扱う事業が大きく業者のレベルも比較的高いため、土木に関する幅広い知識が求められます!
道路建設の部署は、民間経験のある職員が配属される傾向があります!
先ほどお話ししたように、道路建設の部署では土木に関する幅広い知識が求められます。
なので、この部署に配属される職員は民間経験(建設コンサルやゼネコン)のある職員が多くなる傾向があります。
新卒で配属されることは道路維持の部署に比べると少ないイメージです!
他にも多くの部署を経験したベテラン職員も配属になりやすく、比較的年齢層が高めの部署になります!
まとめ
ここまで、道路建設に関する部署の仕事内容について解説してきました。
まとめると、
- 事業あたりの規模が大きく、業務量も非常に多い。
- 用地買収等が発生しやすく、地権者との調整が大変。時には工事が止まることも…
- 比較的大きな業者を相手にするため、土木に関する幅広い知識が必要。
- 民間経験のある職員や、ベテラン職員が多く配属される傾向。
こんなところでしょうか!
主要道路の新設・改良を行う道路建設の部署は政令市の土木公務員にとって目玉部署といっても過言ではありません。
毎年パンフレットに乗ったりする大きな仕事なので大変な分、やりがいも大きい部署です!
土木公務員として、一度は経験しておきたい部署ですね!
この記事が土木公務員を目指す方の参考となれば嬉しいです。
これからも土木公務員に関する情報を発信していきます!
それでは、失礼いたします。