いつもお世話になっております、ルル区長です。
公務員は仕事しなくても年齢と共に安定して給料が増えて、昇格していく。
このようなイメージを皆さん持ってはいませんか?
しかしこのご時世、財政状況の圧迫もあり公務員でも職員を適正に評価して有能な職員を昇給させるような環境になりつつあります。
民間企業ほどではありませんが公務員も段々と人事評価を見直す傾向にあります!
そこで今回は公務員の人事評価制度について解説していきます!
人事評価制度の基本
地方公務員の昇給の基準となる人事評価制度は国が定めている人事評価制度に基づいて設定されています。
令和4年10月から制度の見直しが行われ、今後地方自治体にも波及していく思われるので今回は国家公務員の人事評価制度をベースにしていきます!
以下に参考にした人事院と総務省のHPのリンクを置いておきます。
人事院HPより
地方公共団体における人事評価結果の活用状況等調査結果(令和4年4月1日現在)
この人事評価制度では職員の評価方法として「能力評価」と「業績評価」の2つがあります。
簡単に説明すると、以下のようになります。
・能力評価:業務の内容を理解して能力を発揮することができたかを評価
・業績評価:1年を通しての目標を設定し、どの程度達成できたかを評価
こうした指標を用いて職員の評価が行われ、昇給や勤勉手当の評価に反映されます。
当然ですが公務員でも、仕事をしない職員と頑張った職員ではやはり昇給にも差が出てきます!
ここからこの「能力評価」と「業績評価」について掘り下げていきます!
「能力評価」は年1回、「業績評価」は年2回の頻度で行われます!
「能力評価」と「業績評価」はそれぞれ頻度が異なります。
「能力評価」は(10/1~翌年9/30)の期間で年1回、
「業績評価」は(10/1~翌年3/31及び4/1~9/30)の期間で年2回の頻度で行われます。
僕の自治体でも10月や4月になると人事評価の面談が行われたりしています!
評価区分と制度の見直しについて
令和4年10月以降(制度見直し後)、各評価は下の表のように6段階で評価区分が分かれています。
S | A | B | C | D | E |
---|---|---|---|---|---|
卓越して優秀 | 非常に優秀 | 優良 | 良好 | やや不十分 | 不十分 |
参考として、R4年度10月より前の制度見直し前の評価区分の表を下に載せておきます。
S | A | B | C | D |
---|---|---|---|---|
特に優秀 | 通常より優秀 | 通常 | 通常より物足りない | はるかに及ばない |
制度見直し前は5段階の区分だったんですね!
この見直しは5段階の評価では評価がA(通常より優秀)とB(通常)に偏ってしまい、正当な評価ができていなかったことにより行われました。
参考に国が公表している見直し前の評価の分布調査結果を載せています。
評価区分 (一般職員) | S | A | B | C | D | 合計 | (参考)A,B合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
能力評価 (H30.10~R1.9) | 9.1% | 53.2% | 37.2% | 0.4% | 0.0% | 100.0% | 90.4% |
業績評価 (R1.10~R2.3) | 11.2% | 52.1% | 36.3% | 0.4% | 0.1% | 100.0% | 88.4% |
業績評価 (H31.4~R1.9) | 10.0% | 51.8% | 37.8% | 0.4% | 0.0% | 100.0% | 89.6% |
R2.9 内閣官房内閣人事局 評語分布調査
確かに、制度見直し前では約9割が評価区分AとBに集中していますね…
さすがにこのような状態では仕事をさほどしていない職員もB以上の評価を受けていると考えざるを得ませんね笑
人事評価は昇給や勤勉手当にも影響してきますし、職員の給料についても部署ごとに限度が決まっているのでこの状況で正しい評価はさすがにできているとは思えません。
制度の見直しで行われた評価区分の細分化は絶対に必要ですね!
地方自治体も同じような状況ですので早めに波及してほしいところです笑
人事評価制度と給料の関係
ここからは人事評価制度でつけられた評価が給料にどのように反映されるのか解説していきます。
評価の活用項目としては主に以下の3つがあります。
- 昇給への活用
- 勤勉手当(ボーナス)への活用
- 昇任への活用
当たり前ですが、どれも職員としては重要な項目ですね笑
順に解説していきます!
昇給への活用:これが一番重要です!
まずは、昇給への活用についてですが、ぶっちゃけこれが一番重要です笑
基本給の上昇はつまり時間単価の上昇ですので残業代やボーナスにも直接影響してきます。
そんな昇給へ人事評価がどのように活用されているかというと、
人事院のHPに掲載されているこの画像のとおりです笑
評価上位の職員から順に昇給区分を振り分けていきます。
ただし、国家公務員では昇給区分Aは5%まで、昇給区分Bは20%までと適応できる職員数の上限が決まっています。
地方自治体でも同様に上位の昇給区分を適応できる職員数は上限が決まっています!
若いうちはしっかり給料が伸びるので是非とも良い評価をもらいたいところですね笑
昇給についてはこちらの記事で詳しく解説していますので是非ご覧ください♪
勤勉手当(ボーナス)への活用:単発ですが額は結構変わります!
次は勤勉手当(ボーナス)への活用についてです。
こちらは昇給とは異なり、永続的な単価の上昇ではありませんがこれから説明する人事評価の反映により結構な額が変わってきます!
人事評価がどのように勤勉手当に反映されるかというと、
こちらも人事院のHPに掲載されているこの画像のとおりです笑
こちらも国家公務員では成績区分「特に優秀」は上位5%まで、成績区分「優秀」は上位25%までと適応できる職員数の上限が決まっています。
勤勉手当は(支給月数)×(勤務期間による割合)×(成績率)で決まります。
勤勉手当1回分(半年分)を仮に基本給:320,000円、支給月数:1ヶ月分、地域手当:なし、勤務期間による割合:なしで計算してみます!
基本給は国家公務員(行政職)の基本給の平均に近い値を用いています。
特に優秀(119/100~200/100)の場合:380,800円~640,000円
優秀(107.5/100~)の場合:344,000円~380,799円
良好(96/100)の場合:307,200円
良好でない(87.5/100以下)の場合:0円~280,000円
このようになります。
特に優秀の成績率(200/100)は流石に極端すぎますが、それを除いたとしても評価によってかなり金額が違いますよね…
数万単位で金額が変わるので、こちらもいい評価をもらいたいところです笑
昇任への活用:出世したい人は重要です!
最後に昇任への活用について解説します。
出世して上を目指したい人にとっては非常に重要です。
こちらも人事院のHPの資料を用いて説明します!
国家公務員は昇任については過去2年分の人事評価をもとにその可否を決定します。
ただし、この昇任の条件を満たしたうえでその中から最適任者が昇任するということなのでここばかりはタイミングによるところもあると思います。
どれだけ優秀な評価を受けた職員でもポストが空いていなかったり状況次第で昇任できない可能性はあります…
出世競争で上り詰めるには形式的な評価だけでは流石に難しそうですね笑
まとめ
ここまで公務員の人事評価制度について国家公務員の事例を元に解説してきました!
まとめると、
- 人事評価には「能力評価」と「業績評価」の2つがある
- 人事評価制度は令和4年10月から改正され、評価区分が細分化された
- 人事評価は給料に反映され、「昇給」・「勤勉手当(ボーナス)」・「昇任」に影響する
このようになります!
人事評価制度の改正に伴い、楽していても順調に昇給していくという従来の公務員のイメージは無くなりつつあります。
僕も良い評価がもらえるよう頑張らないといけません!笑
この記事で公務員の人事評価制度について理解を深められたなら嬉しいです!
これからも公務員に関する様々な情報発信を行っていきたいと思います。
それでは、失礼いたします。