【契約・入札】公共工事における一般競争入札と指名競争入札の違いや制度を土木職公務員が解説します!

仕事内容

いつもお世話になっております、ルル区長です。

僕たち土木職の公務員が工事や委託を発注するとき、入札方法として「一般競争入札」や「指名競争入札」があるのはご存じかと思いますが、細かい制度や規則について理解できていますか?

ルル区長
ルル区長

僕も入庁したての頃は正直ほとんど理解せず契約事務を行っていましたね~笑

今回は最も一般的な入札制度である「競争入札」について解説していこうと思います!

最初に、公共事業を行うにあたっては「原則として一般競争入札を行うべき」という認識を理解しておいてください。

ルル区長
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地方自治体で働いていると一般競争入札以外の契約方法も多く、この認識を忘れてしまいがちです。

地方自治法の条文では以下のように記載されています。

(契約の締結)
第二百三十四条 売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。
2 前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる

地方自治法 | e-Gov 法令検索

僕たち官公庁が行う入札は公平であることが重要なので、参加資格を持つすべての業者が参加できる「一般競争入札」を基本的には採用するべきなんです!

ですが、内容によっては一般競争入札が不適切な場合もあるのでその時のために設けられているのが「指名競争入札」や「随意契約」といった契約方法になります。

ルル区長
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この認識を理解した上で2つの「競争入札」について勉強していきましょう!

原則として採用される「一般競争入札」ですが、公平性を確保するためにかなり面倒なシステムになっています。

ルル区長
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公平である代わりに契約締結までかなり時間がかかってしまうのがデメリットです。

一般競争入札は「公告」により入札参加者を募ります

一般競争入札の特徴の1つとして、「公告」により入札参加者を募集することが挙げられます。

ルル区長
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参加資格を満たす全ての業者が参加できるため、HPなどにより入札情報を告知することを「公告」といいます。

他の契約方法は入札可能な業者を発注者(官公庁)側で決めるため、この「公告」は行われません。

公告には期間が定められており、入札日までに10日間(少なくとも5日間)は空けておかなければなりません。

ルル区長
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参考としてさいたま市の契約規則では以下のように記載があります。

(入札の公告)
第3条 令第167条の6第1項に規定する公告は、入札期日の前日から起算して10日前までに、さいたま市契約公報若しくは新聞への掲載又は掲示場への掲示その他の方法で行うものとする。ただし、急を要する場合においては、その期間を5日前までに短縮することができる。(一部改正〔平成15年規則130号〕)

さいたま市契約規則

必要であれば特別な参加資格を設けることも可能

基本的に一般競争入札の基本的な参加資格は以下のとおりです。

  • 発注者である官公庁に業者登録があり指名停止期間中でないこと
  • 設計金額の区分により決められたランク以上の業者であること
  • 破産中でないこと
  • 暴力団との係わりがないこと
ルル区長
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どれも一般的な事項ですね!

発注する工事や委託の内容によっては、上記に加えて特別な参加資格を設けることも可能です。

例えば、「専門工種・業務に必要な資格を持つ従業員を雇用していること」や「過去に類似の工事・業務の実績を持っていること」などが挙げられます。

ただし、こうした参加資格条件の追加はやりすぎると入札の公平性を欠くことにも繋がるので設定する場合は注意が必要です。

指名競争入札」は発注者である官公庁側があらかじめ入札に参加できる業者を指定して発注する入札制度です。

一般競争入札と比べて「契約までの期間を短くできる」ことや「落札者が決定する可能性が高い」といったメリットがあります。

ルル区長
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ただし、実際のところ指名競争入札が採用されるケースは少ないです。

採用されるケースとしては以下のような場合が考えられます。

  • 一般競争入札では落札者が決定しない場合
  • 早期に契約を締結する必要がある場合
  • 高品質な工事・業務の履行が必要な場合
  • 指名停止にはなっていないが不誠実な業者を排除する必要がある場合

指名業者は5者程度は必要

指名競争入札を行うにあたり、指名する業者数は5者程度は必要になっています。

(入札者の指名等)
第18条 指名競争入札により契約を締結しようとするときは、資格者名簿に登載した者のうちから競争に参加する者をなるべく5人以上指名しなければならない。

さいたま市契約規則

絶対にというわけではありませんが、指名業者が少なすぎると競争原理が働かなくなってしまうので5者程度は必要ということです。

指名通知日から最短2日で入札ができる

指名競争入札は指名通知を行った日から最短2日で入札を行うことができます。

第18条の2 前項の規定により指名競争入札に付する契約の入札者を指名したときは、当該入札者に対し、第4条第1号及び第3号から第7号までに規定する事項を、入札期日の2日前までに通知するものとする。
(一部改正〔平成15年規則130号〕)

さいたま市契約規則

ルル区長
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早急な契約が必要な場合などは役立ちますね!

事前に指名業者を決定する審査が必要

指名競争入札は発注者側で入札参加業者を指定することができるため契約後はスムーズに履行できる可能性が高い入札方法ですが、事前にどの業者をなぜ指名するかの審査が必要です。

この審査は担当部局や契約課等と行い、指名業者の選定には対外的に納得のいく理由が必要です。

ルル区長
ルル区長

指名されなかった業者は入札に参加できないのでその点で公平性がなくなってしまいますからね…

ここまで、公共事業における「一般競争入札」と「指名競争入札」について解説してきました。

まとめると、

  • 入札方式は「一般競争入札」が原則
  • 一般競争入札は公告~契約まで期間が長い
  • 一般競争入札には必要に応じて参加資格を設けることができる
  • 指名競争入札は短い期間で契約ができる
  • 指名業者は5者程度は必要
  • 業者を指名した根拠となる理由について事前に審査が必要

こんなところでしょうか!

この記事が公務員として働く方の参考になれば嬉しいです。

これからも公務員に関する有益な情報を発信していきます!

それでは、失礼いたします。

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