いつもお世話になっております、ルル区長です。
公務員として働く方にとって、「入札」というものに関わる機会はとても多いと思います。
特に土木職の工事を担当する部署であれば週単位・月単位の頻度で入札に関わっています!
この入札を行う際に、入札者が支払う「入札保証金」と落札者が支払う「契約保証金」があるのは建設業に携わる方々ならご存じだと思います。
また、地方公務員の技術職(特に土木)で働いていると、契約事務を発注担当者自ら行う機会も多々あると思います。
しかし、この「入札保証金」と「契約保証金」の制度・目的をしっかり把握できている人は少ないのではないでしょうか?
僕も入庁したての頃はそうでしたが、なんとなくの認識で業務を進行させてしまいがちなんですよね笑
今回はそんな「入札保証金」と「契約保証金」について分かりやすく解説していきたいと思います!
入札保証金
まずは入札保証金について解説します!
ちなみに公共の入札では入札保証金が発生するケースは少ないです笑
技術職の公務員としては契約保証金と比べて事務手続きを経験する機会が少ないと思うのでしっかり把握しておきましょう!
入札保証金は落札者が契約を行わない場合に支払う保証金です!
入札保証金は入札を行い落札した業者が契約を行わなかった場合に対する保証金になります。
以下に地方自治法の法令根拠及び参考に岡山市の契約規則が分かりやすかったので記載しておきます!
地方自治法施行令 第167条の7(一般競争入札の保証金)
「普通地方公共団体は、一般競争入札により契約を締結しようとするときは、入札に参加しようとする者をして当該普通地方公共団体の規則で定める率又は額の入札保証金を納めさせなければならない。」
岡山市契約規則 第6条(入札保証金)
「市長は,一般競争入札により契約を締結しようとするときは,その競争に参加しようとする者をして,その者の見積る契約金額(単価による入札にあっては,契約金額に予定数量を乗じて得た額とする。)の100分の5以上の額の入札保証金を納めさせなければならない。」引用:岡山市契約規則
ちなみに入札保証金の額は見積額による契約金額の5%以上としている自治体がほとんどです!
例を挙げると100万円の見積もりで入札に参加する場合、契約金額は110万円(税込)になりますから入札保証金額は
1,100,000(円)×0.05=55,000(円)以上になります。
入札保証金は免除になるケースがほとんど
ただし、基本的に公共の入札では入札保証金の納付は免除になる業者がほとんどです。
入札保証金制度の意味合いとしては信用・実績のない業者が入札に参加する際に納付を求めるものです。
信用度の低い業者に対して軽い気持ちで入札させないための制度ということですね!
以下に参考として入札保証金が免除になる場合について岡山市の契約規則を記載しておきます。
岡山市契約規則 第9条(入札保証金の納付の減免)
「市長は,公有財産のインターネット公売に係る入札保証金を除き,次に掲げる場
合においては,入札保証金の全部又は一部を納付させないことができる。」
1.一般競争入札に参加しようとする者が,保険会社との間に本市を被保険者とする入
札保証保険契約を締結したとき。
2. 一般競争入札に参加しようとする者が,第2条の資格を有しており,過去3年の間
に,本市との間で締結した契約を履行しないこと,本市から契約の相手方とされたに
もかかわらず契約を締結しないこと等がなく,契約を締結しないこととなるおそれが
ないと認められるとき。引用:岡山市契約規則
岡山市の場合だと3年間、誠実に入札に参加していれば入札保証金は免除になるということですね!
入札保証金は入札執行後に返還されます
また、基本的に入札保証金は問題なく入札が執行されれば入札後に納付額全額が返還されることになっています。
入札保証金が返還されないケースとしては以下のような例が挙げられます。
- 入札価格を誤って記入した落札者が、契約を締結しなかった場合
- その他業者の都合で契約を締結しなかった場合
入札を執行する側からしても落札者に契約を辞退されると事務処理の手間が増えてしまうので仕方ないですね笑
契約保証金
次に契約保証金について解説します!
こちらは馴染みのある公務員の方も多いと思います。
自治体によっては建設工事等で完工後の支払時に契約保証金の返還事務を担当部署で行う場合があります。
また、契約時にも事務手続きに携わる機会が多々あると思います。
契約保証金の納入方法等についても複数種類があるので覚えておいたほうが良いですね!
契約保証金は契約履行の担保として支払う保証金です!
契約保証金は請負業者が工事や業務を確実に履行するための担保として支払うお金になります!
契約後、契約内容に従わず工事や業務が完了できなかったら発注者は困りますよね。その時のための保証になります。
以下に地方自治法の法令根拠及び参考に岡山市の契約規則を記載しておきます!
地方自治法施行令 第167条の16(契約保証金)
「普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体と契約を締結する者をして当該普通地方公共団体の規則で定める率又は額の契約保証金を納めさせなければならない。」
岡山市契約規則 第31条(契約保証金)
「(契約保証金)
第31条 令第167条の16に規定する契約を締結する者をして納めさせなければなら
ない契約保証金の額は,契約金額の100分の10以上とする。」引用:岡山市契約規則
契約保証金の納付額については契約金額の10%以上としている自治体がほとんどです!
こちらも例を挙げると見積額が100万円とすると契約額は110万(税込)ですから契約保証金額は
1,100,000(円)×0.10=110,000(円)以上になります。
契約保証金の納付は現金納付のほかに別担保で代替することができます。
契約保証金を納めるとき、現金で支払う方法のほかに別担保で代替することができます。
国や自治体との契約行為では契約保証金の納付及びその代替方法としては主に下記の5つの方法が該当します。
- 契約保証金の納付(国や自治体に直接現金で支払う)
- 利付国債又は市債の提供
- 金融機関の保証又は保証事業会社の保証(銀行・保険会社等)
- 公共工事履行保証契約の締結
- 履行保証保険契約の締結
上記項目について広島市のHPが見やすかったので参考にリンクを貼っておきます!
よくあるのは現金納付と金融機関(銀行)の保証です
先ほど紹介した5つの方法の中でもっともよく見るのは「契約保証金の納付(現金納付)」と「金融機関の保証又は保証事業会社の保証(主に銀行保証)」の2つです。
技術職の公務員であればこの2つを抑えておけばオッケーです!
契約保証金の納付(現金納付)は請負業者が直接発注者(国・自治体)に直接保証金を納めるので分かりやすいですよね。
金融機関の保証又は保証事業会社の保証(銀行・保険会社等)については契約内容を確実に請負者が履行することを銀行や保険会社が代わりに保証する制度です。
契約保証金の納付額が大きいと現金を準備するのが大変なので銀行や保険会社の保証が受けられれば大金を準備する必要がなくなるのがメリットです!
ただし、保証先の機関に手数料をいくらか払わないといけないのがデメリットになります笑
契約保証金は契約した工事や業務が完了後に返還されます
契約保証金も契約した工事や業務が完了した後全額返還されます。
発注元の部署で契約事務を行う契約の場合、この返還手続きを忘れて後々問題になることがあります。気を付けましょう笑
もちろん、契約内容が履行されなかった場合は返還されず没収となります。
まとめ
今回は技術系公務員が携わる建設工事と業務委託に関する「入札保証金」・「契約保証金」について解説しました。
まとめると、
- 入札保証金の額は契約金額(税込)の5%以上が一般的
- 入札保証金は免除になる場合がほとんど(実績・信用のない業者は除く)
- 契約保証金の額は契約金額(税込)の10%以上が一般的
- 契約保証金は現金納付以外にも金融機関の保証等、別担保で代替できる
こんなところでしょうか!
僕が入庁したての時に理解できていなかった部分中心に書きました!
この記事が若手公務員の方の参考になればうれしいです。
これからも公務員に関する様々な情報を発信していきたいと思います!
それでは、失礼いたします。