いつもお世話になっております、ルル区長です。
土地や不動産を調べていると必ず出てくる「市街化区域」・「市街化調整区域」という言葉。
なんとなく聞いたことはあるけど、正直よくわからない…という方も多いのではないでしょうか?
この記事では土木職の公務員として都市計画に携わったことのある僕が、この2つの区域の違いについてわかりやすく解説していきます!
そもそも「区域区分(線引き)」って何?
日本では、都市計画法(昭和43年制定)という法律に基づいて、土地の使い方を細かくルールで定めています。
その中でも特に重要なのが、都市計画区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けること。これを専門用語で「区域区分」、通称「線引き」と呼びます。
この「線引き」制度が生まれた背景には、高度経済成長期の無秩序な開発(スプロール化)への反省があります。

農地や山林が計画性なくどんどん住宅地に変わっていった結果、道路・水道・学校などのインフラ整備がまったく追いつかないという問題が起きたんですね。
💡 線引き制度の目的
- 無秩序な市街地の拡大(スプロール化)を防ぐ
- 「まちにする場所」を集中整備することで、効率よくインフラを整える
- 農地・自然環境を守る
市街化区域とは

市街化区域は、一言でいうと「積極的にまちをつくるエリア」です。
都市計画法では以下のように定義されています。
「すでに市街地を形成している区域」および「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」

市街化区域は今後も税金を積極的に投入し、インフラ整備を行って発展させていくエリアになります。
【住む観点】市街化区域のメリット・デメリット
ではここから、「市街化区域」に住居を設けて実際に住む場合のメリット・デメリットについて解説していきます。
✅ メリット
- 自由度の高い土地活用が可能
- 道路・上下水道などのインフラが充実
- 交通・商業施設へのアクセスが良い
- 不動産としての資産価値が安定
- 農地転用が届出だけでOK
❌ デメリット
- 土地価格・固定資産税が高め
- 都市計画税が別途かかる
- 人口が多いため騒音・交通量が多くなりやすい

市街化区域は「都市計画税」という税金が別途必要なのがポイントです。
「都市計画税」は市街化調整区域にはない税金なので、ランニングコストが変わってきます。詳しくは記事の後半で解説します!
市街化調整区域とは

市街化調整区域は、市街化区域とは逆に「まちの拡大を抑えるエリア」です。
「市街化を抑制すべき区域」

「抑制すべき」という表現からもわかるとおり、このエリアは原則として建物の建築や開発行為が禁止されています。
裏を返せば「市街化調整区域」は農地・山林・自然環境を守ることが優先されるエリアでもあります。
また、市街化調整区域で住宅の建築目的で土地を購入する際には、「その土地が本当に家を建てられる土地か」を確認しておく必要があります。
もちろん、「市街化調整区域」でも条件付きで宅地造成・建築が認められており、不動産の広告に出ているものは一般的な家を建てるには問題ない案件がほとんどです。
そして、もしもそうした行為ができない場合、市街化調整区域の土地を売買する広告には「市街化調整区域。宅地の造成および建物の建築はできません」と明記する義務があります(不動産公正競争規約)。

不動産の広告の内容は必ず確認するようにしてください!
市街化調整区域のメリット・デメリット
では、「市街化調整区域」に住居を設けて実際に住む場合のメリット・デメリットについて解説していきます。
✅ メリット
- 土地価格が安い傾向がある
- 都市計画税がかからない
- 自然豊かで静かな環境
- 農業・太陽光発電など一定の活用余地あり
❌ デメリット
- 原則として建物が建てられない
- インフラ整備が限定的(自己負担が多い)
- 農地転用に知事の許可が必要
- 売却が難しく、資産価値が低くなりやすい
- 生活利便性が低いことが多い

市街化調整区域は土地が安いのが一番のメリットですが、将来的な安定性に欠けます…
安く家を建てられて当初はよかったとしても、今後の人口密度の低下や行政による開発・建築行為のさらなる規制等による土地価格の下落リスクがある点には注意が必要です。
2つの区域を徹底比較

ここで「市街化区域」と「市街化調整区域」をまとめて比較してみましょう。
| 比較項目 | 市街化区域 | 市街化調整区域 |
|---|---|---|
| 目的 | 積極的な市街化の促進 | 市街化の抑制・自然保全 |
| 建物の建築 | 用途地域の範囲内でOK | 原則禁止(例外あり) |
| 開発行為 | 一定規模以上で許可必要 | 規模にかかわらず知事の許可が必要 |
| インフラ | 自治体が優先的に整備 | 限定的・自己負担が多い |
| 固定資産税 | 課税(比較的高い) | 課税(評価額は低め) |
| 都市計画税 | 課税(上限0.3%) | 原則非課税 |
| 農地転用 | 農業委員会への届出のみでOK | 都道府県知事の許可が必要 |
| 資産価値 | 安定・売却しやすい | 低め・売却しにくい |
| 地価 | 高め | 安め |
ちなみに、日本全国で見ると「市街化区域」は国土面積のわずか約3.8%しかありませんが、そこに全人口の約67%が集中しています。

改めてどれだけ都市部に人が集まっているか実感しますね笑
国がコンパクトシティ政策を推進しているのでこの傾向は今後さらに強まっていくと思います。
市街化区域の用途地域13種類
市街化区域の中では、さらに「用途地域」という細かいルールが定められています。
用途地域は全部で13種類あり、住居系・商業系・工業系の3つに大別されます。用途地域によって「建てられる建物の種類」が決まります。

同じ市街化地域でも用途によってエリアの特性はかなり違います!
用途地域:住居系(8種類)
住居系の用途地域は住環境の保護が優先されるエリアです。
| 用途地域 | 特徴・ポイント |
|---|---|
| 第1種低層住居専用地域 | 低層住宅のみ。コンビニも建てられない最も厳格なエリア |
| 第2種低層住居専用地域 | 小規模な店舗・事務所が一部OK |
| 第1種中高層住居専用地域 | マンション・病院・大学が可能 |
| 第2種中高層住居専用地域 | 中規模の店舗も可能 |
| 第1種住居地域 | 大規模な店舗・事務所は不可 |
| 第2種住居地域 | パチンコ店・カラオケ店も可 |
| 準住居地域 | 幹線道路沿いの商業施設と住居が共存 |
| 田園住居地域 | 農地と低層住居が共存するエリア |

市街化区域に家を建てるならこうしたエリアが最も無難です!
用途地域:商業系(2種類)
商業系の用途地域は僕たちが日常的に利用するスーパーやデパートが立地するようなエリアです。
| 用途地域 | 特徴・ポイント |
|---|---|
| 近隣商業地域 | 日常的な買い物ができる商業施設が集まるエリア |
| 商業地域 | 百貨店・映画館など大型商業施設もOK。繁華街のイメージ |

近隣商業地域に居住すると便利は良いですが、道路などは混雑する傾向にあるエリアです!
用途地域:工業系(3種類)
工業系の用途地域は主に工場を誘致して、その他のエリアへの環境的な影響を少なくするためのエリアです。
| 用途地域 | 特徴・ポイント |
|---|---|
| 準工業地域 | 住宅・商業施設と工場が混在するエリア |
| 工業地域 | 大規模工場OK。住宅も建てられる |
| 工業専用地域 | 住宅・学校・病院は建築不可。完全に工場専用のエリア |

こうしたエリアは少なからず大型車の通行や作業による騒音・悪臭などが発生するため、居住にはあまり適してはいません。
市街化区域と市街化調整区域における税金の違い(都市計画税)
市街化区域と市街化調整区域で大きく変わるのが都市計画税の有無です。
都市計画税とは、市街化区域内の土地・建物の所有者に課される税金です。道路整備や公園整備など、都市計画事業の費用に充てられる「目的税」になります。
📊 都市計画税の基本データ
- 税率上限:0.3%(各自治体が条例で決定)
- 免税点:土地30万円未満 / 家屋20万円未満は課税なし
- 市街化調整区域:原則非課税

市街化区域のほうが土地の価格も高いのに、さらに都市計画税まで別途必要になってくるんですね…
住宅用地の軽減措置
なお、住宅が建っている土地(住宅用地)については、都市計画税が軽減されます。
| 区分 | 面積 | 都市計画税の課税標準 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200m²以下の部分 | 評価額の 1/3 に軽減 |
| 一般住宅用地 | 200m²超の部分 | 評価額の 2/3 に軽減 |

なお、東京23区では小規模住宅用地に対してさらに都市計画税が半額になる特例もあったりします。
自治体によって独自の減額措置があるので、住宅を建てる際には住んでいる自治体のHPで確認してみることをオススメします!
市街化調整区域の土地は何に使える?
「じゃあ市街化調整区域の土地は何もできないの?」と思う方もいると思います。

市街化調整区域での建築・開発行為は原則禁止でしたね…
ただし記事の前半でも軽く説明しましたが、目的によっては例外的にこうした行為が許可されるケースがあります!
例外的に建築・開発行為が認められるケース
市街化調整区域での建築・開発行為については都市計画法第34条により、例外的に許可される要件があります。
📋 都市計画法第34条の例外規定(主なもの)
- 農林漁業用の建築物(農家住宅・農業倉庫など)
- 公益上必要な施設(ガソリンスタンド・コンビニなど)
- 既存集落内での住宅等の建築(自治体の条例等による)
- 日常生活に必要な物品の販売店舗など

今でも市街化調整区域に家を建てられるのはこうした要件があるからなんですね!
ただし、住宅建築についてはスプロール化防止の観点から規制を厳しくする自治体も増えてきていますので注意が必要です!
建築物を建てない土地活用の選択肢
建築物を建てない市街化調整区域の土地の活用方法としては以下のようなものが挙げられます。
| 活用方法 | 特徴・注意点 |
|---|---|
| ☀️ 太陽光発電 | ソーラーパネルの設置。農地の場合は転用許可が必要なことも |
| 🚗 月極駐車場 | 舗装と区画だけで運営可能。初期コストが低い |
| 📦 資材置き場 | 建設会社等に土地を貸し出す。設備投資がほぼ不要 |
| 🌾 農地として継続 | 農業委員会との関係を維持しながら農業収入を得る |
| ⛺ キャンプ場・農園 | 建築物なしで運営できる形態なら可能なケースも |

市街化調整区域は「何もできない」というイメージが強いですが、活用の選択肢は意外とあるんです!
ただし、必ず事前に自治体の都市計画担当窓口に確認することが大切です!
思い込みで動くと後悔することになります笑
まとめ
今回は都市計画の観点から、市街化区域と市街化調整区域の違いについて解説しました!
まとめると、
- 市街化区域:積極的にまちをつくるエリア。インフラが充実し利便性も高いが、都市計画税がかかる
- 市街化調整区域:まちの拡大を抑えるエリア。原則建築不可だが、土地価格は安く都市計画税は非課税
- 市街化区域には用途地域(13種類)が定められ、建てられる建物の種類・規模が決まる
- 市街化調整区域でも要件を満たせば住宅の建築は可能
- 市街化調整区域でも太陽光・駐車場・資材置き場など建物不要の活用方法はある
- 土地購入前には必ず区域区分と用途地域を確認!
こんなところでしょうか!
土地や不動産を購入・活用する際は、その土地がどの区域に該当するかが最初の確認ポイントになります。

自治体の都市計画情報はホームページや窓口で確認できますので、ぜひ活用してみてくださいね!
この記事が、都市計画に興味のあるかたや住宅を検討されている方の参考になったら嬉しいです。
これから都市計画に関する有益な情報を発信していきます!
それでは、失礼いたします。
